同友会ニュース−企業訪問

【12.01.22】シリーズ「東日本大震災と私」①(有)くらし建築工房 中村喜一氏~「この地域だから頑張れる」

「この地域だから頑張れる」 くらし建築工房・代表取締役 中村 喜一氏

 くらし建築工房 くらし建築工房は、住宅に関する地域からのあらゆる要望にお応えしています。お客様の9割以上は、会社のある山岸地域の半径3キロ圏内、地域にお住まいの方々です。「こまったをよかった!!に~水廻りから建て替えまで」をキャッチフレーズに小さな困りごとを解決することからお客さまとの関係づくりをしています。そんな地域密着の企業経営を紹介します。

何のために経営するのか

 くらし建築工房1 私の会社がある山岸地区は、「野田塩べこのみち」街道でも知られる歴史ある街です。閉鎖的な土地柄でもありますが、人と人とのつながりも深いところです。そんな生まれ育った故郷へ恩返しがしたいという思いから、平成14年に起業しました。
 起業して数年は一緒に立ち上げた役員と2人で、事業としてどのように営み、発展させていくかに全力で向き合う日々で、明確な経営理念を掲げてはいませんでした。
 2004年に同友会に入会して「労使見解」に出会いました。そこで「経営者の責任」を学び、これまで、自分たちのことを中心に考えていた経営であったことに気付きました。「企業」への第一歩として経営理念を明確にし、経営指針を作成、そして新たに社員も採用しました。
 自社では、お客さまと心の握手を交わし、笑顔のある暮らしを創り、誰もが安心して豊かなくらしをおくることができる、住みよい街を創っていくことを使命としました。

灯りが消えた地域が心配で心配で

くらし建築工房2  震災が起きたときは、盛岡市内の現場にいました。大きな揺れが起きてすぐに携帯電話が音信不通になり停電が続きました。翌日、社内に集まり、水、食糧、燃料の調達について話し合いました。燃料調達も資材入手も大変でした。
 電気が復旧して津波の映像を見ても信じられませんでした。この先どうなっていくのか不安が募りました。こんなとき自分たちが何をすればいいのか考え、指針に戻りました。そして、目の前の地域を守ることが自社の役割だと再確認しました。
 社員、お客様、地域を守り存続させるために、山岸地域の住民に「お困り事があればご相談ください」という緊急チラシを一軒一軒、歩いて配りました。
 一軒一軒訪問していると、誰もが不安に思っていることがわかりました。後日、地域住民から感謝され、私も社員も自社の存在意義も実感できました。

社員の成長が一番の楽しみ

 くらし建築工房3  以前は、社員に考えてもらう前に結論を出していましたが、会社は社員が成長した分しか成長できないということにも気づきました。社員の成長とは、人から教えられたり、指示されるものではなく、自らが考え、気づくことから始まると思います。人の成長度合いは数値で計れるものではありませんが、その人が気づくときまで待ちたいと思っています。
 人は皆、違っていて当たり前です。そのことを理解して、ひとりひとりの可能性を引き出し、その人の持ち味を生かしていくことが社員の人生を預かっている経営者の責任ではないかと思います。
 経営の楽しさは、社員がこの会社で成長し、生き生きと働いている姿を見ることです。そして、社員の働きによってお客様から感謝されれば尚嬉しく思います。

顔がつながる温かい地域に

 くらし建築工房4  今、山岸地域は高齢化が進み、空き家も目立ちます。空き家が増えていけば、更に過疎が進み地域が疲弊してしまいます。ここに、山岸最大の課題があるのです。
 これからの仕事は、町を活気づけることです。不動産業者と協力して、住宅リフォームで新たな命を吹き込み、新しい家族が住めるようにしていけば、人口が増え、地域も元気になると思います。
 地域活性化の連携に関して、相続の問題など課題は山積みです。しかし、自社から発信してうまく連携していきたいと考えています。
 また、地域が元気になっていくためには、地域でお金が回る仕組みが不可欠です。協力業者とネットワークを築き、地域内で循環させていく仕組みづくりをしています。そうすることで、地域が活性化し、若い人も高齢者も住みやすいコミュニティ、長く住める住環境をつくりたいのです。人と人とがつながることができる地域コミュニティでお互いの顔が見えるような町にしていきたいと思っています。

地域から必要とされるために

 くらし建築工房5  私たちは、地域に絞って仕事をしていますが、量的には限界があります。企業として、より多くのチャネルを増やし、仕事量(売上)を増やしていく必要があります。
 これまでは、個人のお客さんと取引する(BtoC)で経営してきましたが、これからは企業と取引する(BtoB)も取り入れ、集客できる企業と連携して顧客を増やしていきたいと考えています。増やしたいのは、地域から遠く離れた顧客ではなく、あくまで山岸地域の顧客です。そこから深堀していく戦略です。
 自社の考え方は、果樹農園型の経営です。仕事1件の価格で考えるのではなく、その家一軒の生涯価格で仕事を見ています。
 地域との関係がない限り、企業は成り立ちません。地域から必要とされるために、地域に何が必要かを考え、それを提案し続けていくことが使命だと思っています。

夢のある未来へ向かって

 私たちは、人生の長い時間を会社で過ごします。その会社が社員の笑顔を生み、その社員の幸せにつながる場所であることが大切だと思います。
 今回の震災で、命の大切さを感じることができました。人の命に重みの違いはありません。個々の良さを認め、命の尊厳を大切にしていきたいと思います。
 危機のとき、支えになった指針を基に社員が笑顔で働ける会社をめざして、私自身が学び続けたいと思います。そして全ての人と夢のある未来を共に歩みつづけていきたいと考えています。
                      

(取材・執筆:愛知同友会事務局員・伊藤沙弥香/2012.1.10~20・岩手同友会事務局支援) 伊藤さん

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