同友会ニュース−企業訪問

【12.02.14】シリーズ「東日本大震災と私⑤」 (株)大船渡資源 伊藤安秋氏~「何よりもお得意様を第一優先に考えた」

息もつけないほどの忙しさ

大船渡資源1  創業から49年。大船渡市で総合リサイクル業を営む(株)大船渡資源。今回の震災で大きな被害を受けながらも、震災直後から操業再開へ全力を傾け、11ヶ月が経過した現在、地域の復旧になくてはならない存在になっています。ひっきりなしに大型ダンプやトラックが行き交い、津波で壊された工場や家屋の廃材や鉄骨、そして日常私たちの生活の中で出される紙やアルミなどの資源を丁寧に回収、限りなくリサイクル資源として活用できるよう分類しています。毎日が息もつけないほどの忙しさです。
 同社は大船渡市の盛川の河口から道を一本隔てた場所にありました。震災当日、震度6の地震にすぐ休業を決め、社員全員を帰宅させます。河口沿いとはいえ、これまで会社ができてから津波被害はなく、今回もさほど心配ないだろうと考えていました。ところが警戒警報が鳴り止まず、これは一度離れた方がいいと、高台に車で避難しました。当時すでに避難する車で混雑していて、なかなか動かない状況でした。

一瞬でも早く動くしかない

 大船渡資源2  翌日会社へ戻ってみると、河口一帯道路までが一面泥だらけで、車や重機もなくなってしまったもの、ひっくり返っているものなど、とても手につけられない状況に唖然とします。事務所は2階まで水がかぶり、また同じ敷地内にあった自宅も同様に一階は骨組みだけになってしまい、とても住めるような状況ではありませんでした。
 そんな中でも、伊藤社長は「これはスピードが問われる。とにかく一瞬でも早く動くことしかない」と判断。社員には事業再開へ向け事務所の片付けをしてもらいながら、自身はリサイクル業の心臓部である、車用の大型ハカリの修理と流されてしまった重機の準備に奔走します。
 しかし地元業者はどこも稼働できず、全国の取引先にお願いし、ありったの情報を集め、修理できる業者、重機を販売してくれる企業に頭を下げ、また全国の同業組合の仲間の力を借り、一つ一つの機材を揃えていきました。震災から2ヶ月後にはハカリも万全に。そして資源の受け入れを開始できるまでになりました。緊急時に求められたスピード、情報収集発信力、そして資金を前面に出して回す力は、49年の経営で身につけてきた経験そのものでした。

変わらず動き続けている安心感

 大船渡資源3  「何よりもお得意様に離れられたら、私たちの商売は成り立たない。一度離れたら二度と帰ってこない」と話す伊藤社長。価格では他社との違いをつけにくい。サービスでも限界がある。それであればスピードと、どんな環境におかれても、「あの会社は変わらず稼働している」という安心を伝え続ける。そうした日常から変わらず持ち続けている信念が、この早い対応につながったのです。
 まだ地域の今後のビジョンが決まらず、近隣の工場群が以前のように戻ってくるかはわかりません。しかし既に復興へ向けた建設、建築ラッシュで様々なリサイクル資源がどんどん出てくる毎日です。重機を揃え本体をいち早く立ち上げ、大規模な古紙回収処理施設を急ピッチで修繕し、稼働させたのはそうした理由でした。「この復興期にもし、地元に受け入れ先がなかったら、内陸で処理することになる。もしそうなったら、我われがここに居る意味がなくなる」緊急時における事業再開のスピードは、企業の存亡がかかっているのです。

一歩一歩はお客様一人ひとりを大切にすること

 大船渡資源4  「一歩一歩」。震災前から(株)大船渡資源では社是にかかげ、伊藤社長ご自身も常に自分にそう言い聞かせてきました。自らの足で歩む、自立の一歩一歩です。
同社には地域にお住まいの方々が、軽トラックにアルミの空き缶を積んでやってきます。片やぐにゃりと曲がった鉄骨も大型トラックで運ばれてきます。でもどんな小さな資源も社員は一つひとつ丁寧に受け付けます。「一歩一歩」はお客様一人ひとりを大切にする理念にもつながります。
 「緊急時に力を発揮するにはどんな準備が必要か」最近よく聞く問いかけです。日常から地域に必要とされ続ける企業になっているか。そしてどんな環境の変化が起きても、ぶれずにお客様のニーズに応え続けているか。「危機にこそ出番」と地域を支える中小企業の逞しさ。沿岸は確実に着実に立ち上がり始めています。

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