同友会ニュース−企業訪問

【12.12.17】企業訪問シリーズ「経営指針と共に育つ企業づくり」①~(株)あさ開

岩手の酒造りを支える熱き社員のこころざし~危機に力を発揮した経営理念

 あさ開  東日本大震災の直後、被災地の岩手では、内陸部でも全く売上げの見通しがつくれない時期がありました。(株)あさ開(村井良隆社長 岩手同友会会員)ではその時期に、営業経験のない社員までもが全国に散らばり、会社の顔として、丁寧に取引先を歩きました。「地域に根付く酒蔵として何ができるか」その答えは「すべてのお客様の食の場における「喜び」「楽しみ」「くつろぎ」に貢献する。そして「岩手の食を通じて地域の未来に貢献」する、という経営理念にありました。  
 村井良隆社長は、嗜好の変化やノンアルコール商品の増加で日本酒の消費量が急激に右肩下がりになっている状況に危機感を持っていました。地域に根ざした創業142年の日本酒醸造蔵として、岩手で地元の農家が大切につくった米を使い、地域の水と空気で醸し出す味を大切に守ること。そして企業を守り、社員を守り続けるためにも、新たな需要を創造し続けていくことしかないと感じていました。地域の食、人々のくらしを守る。そうした理念が社内全体に浸透していたからこそ、大変な危機に瞬時に動くことができたのです。
 一人ひとりの社員の力は、新たな顧客を全国に生むことになりました。津波の被害を直接受けた沿岸のお客様は4割近くありましたが、そうした社員の動きが、企業を守り、岩手の食を守る力になりました。

実は40年間、店に立ってみたかった

 あさ開  あさ開では同友会の共同求人で、毎年地元から新卒者を採用し続けています。また社内の社員登用にも独自の制度を取り入れています。中でも特長的なのが、アルバイトで入社しそのまま正社員になるケースです。
 現在はネットショップの店長となった社員の佐々木さんもその一人です。開設当初から、一人黙々と注文や反応をくださった月4千人のお客様一人ひとりに、岩手のその時どきの季節感や、感謝の気持ちをメールで伝えて行きました。心が伝わる独特の文章が次第に全国にあさ開ファンを生みだして行きました。現在ではスタッフ6人を擁する一大部門に成長しました。
 同様に定年を迎えても、本人の意志次第で年齢も性別も関係なく、どの部所にも行くことが可能なのもあさ開の大きな特長です。入社以来40年製造行程で勤務して来たある社員は今、活き生きと満面の笑みで店舗に立ち接客しています。「実は働き始めてから40年、いつか店舗で接客がしてみたいと、ずっと思っていたんです。今は本当に楽しくてしょうがない」社員が瑞々しく働く根底には、自主性を引き出し育む社風があります。

知恵を出し合い、自ら生み出す

 あさ開  各部門の年度計画は、おおよそ1年先まで出来上がっています。その全てが部門長と社員で緻密につくりあげられ、全体の経営指針に集約されます。チェックは一週間毎。計画、予算に対する結果が細かく出て来ますので、そこでぶつかった課題や問題があれば、自分たちですぐに確認し、解決手段を打つことができます。こうした小さな積み上げが、危機を未然に防いでいます。
 その成果が今回の震災対応でした。日常から自然に行われていた経営指針のPDCAは、社員一人ひとりが自ら危機管理できる能力を身につけていました。それぞれの部門で新たな市場づくりに知恵を出し、日本酒の新たな飲み方を提案するブルーベリーやヨーグルトのリキュールや、地元の米、水、こうじなどオール岩手にこだわった商品など、震災後に生まれた新商品も数え切れません。
 あさ開では、経営理念の一番最初に「全社員の物心両面の幸せを追求します」と掲げています。村井社長は震災直後に全社員に伝えました。「一年間売上げが全く無くても給与を払える資金は用意した。安心して家族を守って欲しい。そして存分に地域のために頑張ってほしい」実際にはそのときにはまだ、社長自身も確信はなかったのですが、理念をもとに全社員が結集し、この1年9ヶ月の社員一人ひとりの大きな成長を生み出しました。

次の経営陣はあなたたち

  あさ開  岩手同友会では今年、経営指針を創る会の半年間に加え、幹部社員との経営指針の実践を目的とした幹部社員共育講座を初めて行いました。あさ開からは6名の幹部社員が参加しました。全員が30代から40代前半です。それぞれの部門に責任を持つ幹部社員ですが、その意識の高さは経営者そのものです。「社長は一人。でも経営者(の意識を持った者)は何人いてもいい」岩手同友会の社員教育のキャッチフレーズです。
 「次の経営陣はあなたたちだよ」幹部社員に話すその気持ちは本音です。昨年、新たな市場づくりを模索し、海外に新たな販売拠点を設けました。既に全体の売上げの一割近い量を輸出するまでになりました。あさ開は船出の歓びをたたえ、祝福した万葉集の歌の枕詞です。そこには時代に心を開き、時代を切り拓いてきた熱きこころざしがありました。そのこころざしを引き継ぐのは、あさ開に誇りを持った社員一人ひとりです。東日本大震災という大きな災禍を受けて、142年の蔵はまた新たな歴史を歩み始めています。

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