ニュース
「走り出しながら考える」~県南支部8月例会開催
県南支部8月例会が、8月23日(火)一関文化センターで行われました。今年度に入り、報告者との打合せをしっかりと重ね例会づくりを行っている県南支部ですが、今月は世嬉の一酒造株式会社 代表取締役社長 佐藤航氏をお迎えし、「走り出しながら考える」~常に新たな事業へ挑み続けて~をテーマに例会を開催しました。
「世の人々が嬉しくなる一番の酒づくりを目ざす」という思いで世嬉の一と銘名された同社は、2012年に佐藤氏が社長に就任されてから10年。この間、常に現業をもとにした複数の事業を考え、いつでも新たな事業を開始できる体制を準備してきました。
特にコロナ化の中での2年前からの、社会全体からの酒類への風当たりの強さに、大打撃を受けます。しかしながら同社では、様々な試みを社員と取り組み、酒が売れないない中で、次々にヒット商品を生み出し、ここまでの難局を突破してきました。その背景には、「世嬉の一のDNAは決して変えない」という不変の考え方と、経営理念とともに、社員と共有してきた経営ビジョン、そして世嬉の一の価値を、現況に合わせて大きく変化させるという、大胆な社内変革がありました。
お客様が来ないなら、その間を社員とのディスカッションを重ねる時間にしようと、何度もたくさんの時間を使い、考え方の共有をしてきました。こうした風通しのいい社風が、社員からの新事業の提案や走りながら考え、実践する風土を生んできました。こうした背景には、東日本大震災時の教訓が大きく生きています。佐藤氏は「コロナ禍の中でも同様だった。あの経験があったから」と話します。
「レストランでものづくりをする」これまでサービスを提供することを根幹にしてきたレストランで、商品開発をメインに据えることことなど、より柔軟な思考がこの危機突破の大きなきっかけとなりました。「3割できたらまずやってみる」とにかくやってみる。そしてうまく進まなければ、一度退散する。こうした考え方が多層的で面白く、魅力ある商品の展開につながっています。
また、報告の中では社員と取り組んできた3年連用日誌や「新卒の高校生でもわかるように」と作成した先代社長、専務が話された会社や地域、食文化への想いを紐解いた冊子など、普段は社外に出さない大切なものを現物でご持参いただき、参加者に自由にご覧いただけるようにするなど、佐藤氏の社内で日常どんな姿勢で向き合っているか、実際に感じられる時間となりました。
現在同社では、これまで外部の蔵を借りて行ってきた酒造りの復活へ向け、本気で向き合っています。近年、コンクールでも金賞を受賞、その品質は折り紙付きです。ビールやジンなどの新たな商品開発に加え、先代からの酒造り、そして餅文化への想いを大切に前へ進む佐藤航氏の報告でした。