中小企業の日・中小企業魅力発信月間」関連イベント
「男女ともに働きやすい職場づくりに向けた学習会」を県と共催で開催

　岩手同友会と岩手県商工労働観光部共催の「男女ともに働きやすい職場づくりに向けた学習会」が9月13日、東京海上日動ビル会議室で３２名の参加で開催されました。
　中小企業憲章の制定を受けて昨年までは「中小企業憲章のつどいin岩手」として7年間継続開催、県内各地で取り組んできた中小企業振興基本条例の実践事例を中心に紹介し、各自治体での条例制定に大きく貢献してきました。
　昨年7月20日を中小企業の日として制定されたことを受け、今年からは中小企業魅力発信月間関連イベントとして新たに県と共催で取り組むことが決まり、同友会企業と岩手県女性の就業促進部会委員、行政職員の皆様との勉強会として新たなスタートを切りました。

立場を越えてともに学び合う場に

　冒頭挨拶に立った岩手同友会代表理事の吉田ひさ子氏は「今回は県の女性の就業促進部会の皆さんと同友会、そして東京海上日動火災保険会社の協力で初めて開催されます。本来は障がいのある方、お年を召した方

も含め、「誰もがともに働きやすい職場づくり・・・」となるべきものですが、あえて今回は「男女ともに」と表記しています。いつかこの言葉がなくなることも願ってのものです。

　大きく社会環境は変わってきていますが、まだまだ多くの企業、職場で気づかないうちに格差が出てしまっていたり、働きにくい環境をそのままにしてしまっていたり、社員の声が出しにくい状況があるかもしれません。経営者として互いに気づく場に、またそれぞれの職場で誰もが働きやすい環境を実現するために、ともに学び合って参りましょう」と話し、学習会がスタ－トしました。

　経営理念に共鳴して入社を決めた

初めに岩手同友会の女性部会、そして県の女性の就業促進部会とそれぞれから日常の取り組みの様子が紹介されたあと、３人の実践報告に移りました。
　一番目として、「初めての女性社員の採用と働く環境づくりへの挑戦」～男性中心の職場からの脱皮をめざして～をテーマに、杜陵テクノ株式会社　代表取締役　川村武司氏が報告に立ちました。
　これまで技術者が中心だった同社では、経営指針の成分化と同時進行で働く環境づくりのビジョンを掲げ、社屋の新築や社員一人ひとりがやりがい、生きがいを持てる職場づくりに取り組んできました。しかしながら、「長時間働くのが当たり前」という意識はなかなか変わらず、掲げたものの忙しさの中でそのままになってしまう状況がありました。
　あるとき突然、２０代の女性の方が採用試験に応募してきました。技術者は男性と思い込んでいた川村氏は迷いますが、「一人一人の持ち味を発揮できる企業文化を形成し地域の未来と共に私たちの夢を実現します」との経営理念に共鳴して応募した、との話に採用を決断します。
　その後出産を経て子育てをしながらの業務を支えるために「いわて子育てにやさしい企業」の取得など、社内全体で誰もが働きやすい職場環境をつくるために話し合いを重ね、現在では一人ひとりが会社と個人の夢を共有し、実現へ向けて歩みはじめています。川村氏からは、現在進行中の実践事例が紹介されました。

それぞれの取り組みから学び合う

また実践事例の２つめとして信幸プロテック株式会社　専務取締役　村松直子氏から「一人ひとりの社員が主体になった職場づくり」～女性社員、若手社員がワクワク楽しく働ける仕組みを実現～をテーマに、若い社員から７５才の社員まで３世代に渡ってともに育ち合う企業づくりの実践が紹介されました。（次号で詳報予定）
　そして最後に「わが社の『ジェンダーギャップの解消』の取り組み」をテーマに東京海上日動火災保険会社から課長代理の佐藤綾乃氏に報告いただきました。佐藤氏はご自身の体験から、ある一日を例に、早朝５時からの勤務と午前中の子どもの参観日参加、そして帰宅後に午後はオンラインでテレワーク出勤という働き方が実際にできる職場であることを紹介。先進的な実例に会場からは驚きの声があがりました。
　その後のグループ討論では各社の人に関する悩みや互いの職場の環境について率直な意見が交流され、６０分の討論時間ではまったく足りない程でした。

　今日の学びを一つでも実行に移そう

全体のまとめに立った県商工労働観光部副部長兼商工企画室長の高橋孝政氏は、様々な経験が交流された素晴らしい機会だった。ぜひこの学びを、一人ひとりが一つでも実行に移すことが大切なこと、とご提起いただきました。
　記念撮影では「今回で終わりにせず、一年実践して互いに報告する学び合いを続けていこう」との意見でまとまり、次年度以降の継続した開催を確認した時間となりました。